Sep 03, 2009

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【衝撃事件の核心】

 インターネット検索大手「グーグル」が60万人分の個人情報を無断で収集したとして、韓国警察庁が米本社を立件したと発表した。街並みの映像を公開する「ストリートビュー」の作成過程で収集された情報で、日本を含む30カ国以上で同様の問題が発生、各国が捜査していたが、立件は韓国が初めてという。グーグルが「誤って収集した」と故意性を否定する中、あえて立件に踏み切った理由は何か。世界中で起きたストリートビュー騒動の背景を探った。(桜井紀雄)

 ■グーグルvs韓国…食い違う言い分

 韓国の警察庁サイバーテロ対応センターは今月13日、2009年10月から10年5月にかけ、ストリートビューに使う情報を集める際、個人情報を収集・蓄積したとして、通信秘密保護法違反容疑で米グーグル本社を立件し、起訴に向けて刑事手続きに入ったと発表した。

 韓国・聯合ニュースなどによると、同センターは昨年8月、グーグルの韓国法人を家宅捜索し、ストリートビュー作成に使ったハードディスク79台を押収、米本社のハードディスク145台の提供も受け、分析作業を進めるとともに、韓国法人支社長や米本社の担当者ら10人を取り調べてきた。

 同様の問題は世界30カ国以上に及び、米国やカナダ、オーストラリア、ドイツ、フランス、イタリアなど16カ国で捜査が行われてきたが、「立件は韓国が初。暗号化されたハードディスクの解読に成功した結果だ」と韓国警察の捜査能力の高さを誇るかのように韓国メディアは大々的に立件を報じた。

 これに対してグーグル本社の対外協力業務を総括するロス・ラジュネス氏が韓国のオフィシャルブログを通じ、「明白な失敗であり、非常に申し訳なく思う」と謝罪しながらも「グーグルはこのデータが必要だったわけではなく、製品やサービスに一度も活用したことはない」と故意性を否定。「グーグルは韓国の法律に違反していないと信じており、警察発表に対して遺憾に思う」と韓国警察庁の対応を批判した。

 暗号解読についても「警察が暗号を解く必要がないように、暗号を解いた上で(グーグル側が)提供した」と強調した。

 ■発覚はドイツ…監視統制に敏感?

 ストリートビューは、グーグルの地図情報サービス「グーグルマップ」と連動し、通りに面した全方向の映像を閲覧できるサービス。06年に米国でスタートし、08年には、日本でも開始。韓国ではソウルや釜山でのサービス開始に向け、撮影作業を進めていた。

 グーグルによると、個人情報収集の原因はこうだ。カメラを積んだ撮影車で通りを撮影するとき、「WiFi(ワイファイ)スポット」と呼ばれるインターネットの無線LAN用の中継機を通じて位置情報を収集してきたが、この際にWiFiスポットを経由していたセキュリティー措置のない別の情報も誤って収集したという。

 発覚は「ストリートビューの撮影で個人情報まで集めている」とドイツ政府が昨年5月に疑惑を提起したのがきっかけだった。これを受け、グーグルは、世界各地で同様の問題が起きていた事実を公表した。

 ドイツでは「勝手に住居の映像を公開するな」とストリートビューへの反発が強く、20万世帯以上から自宅の映像を掲載しないよう要求が出た。ドイツでは特にナチスや旧東独時代に監視統制を受けた経験からプライバシーに対して敏感だとの見方もある。

 「裸で日光浴していた映像が掲載された」などとストリートビューをめぐってはサービスが始まった国々で反発を巻き起こした。

 今回の個人情報収集でも米国など多数の国で即座に調査に着手したが、米当局は昨年10月、処分の見送りを発表した。グーグルが主張した通り、「収集したデータを利用しておらず、今後も使わないことを確約したため、消費者に被害が出る恐れは薄れた」(米連邦取引委員会)ことを理由に挙げた。

 ■韓国で張り巡らされた無線LAN網…便利さの裏の弱さ露呈

 そんな中、あえて韓国が立件に踏み切った理由はどこにあるのか。

 グーグルは当初、「収集したデータは断片的で解読は不可能だ」としてきたにもかかわらず、韓国警察庁が分析した結果、メールアドレスや、やり取りした内容、ネットのログインIDやパスワード、クレジットカード情報など、完全な形で読み取れる情報が多く含まれていたことが立件の大きな判断材料となったようだ。

 韓国のネット状況に詳しい斎藤裕弁護士は「韓国では住民登録番号を使ってネット上のかなりの取引が行われている。一つの個人情報が流れただけで芋づる式に別の情報も漏れることになり、影響が大きい」と指摘する。

 韓国では全国民に住民番号の登録が義務付けられており、ショッピングサイトなど、多くのサイトで住民登録番号の入力が必要。半面、番号さえ分かれば自由にログインでき、番号を悪用し、他人になりすましてアクセスする事件も頻発している。「日本では断片に過ぎないとされる情報でもシビアにならざるを得ない」(斎藤弁護士)

 ネット利用の幅が増えた次世代携帯電話「スマートフォン」の爆発的ヒットも背景にあるようだ。日本ではWiFiスポットの存在はそれほど注目されていないが、韓国では、WiFiスポットの設置が進み、スマートフォン利用者の多くがスポットを経由して無料でネットに接続し、商取引などを行っている。ただ、セキュリティーが施されていないケースも多く、WiFiデータの流出は致命傷になりかねないのだ。

 ■日本では別の事情が…軒先を映すのは違法?

 日本でも韓国のような立件が可能なのか。甲南大法科大学院の園田寿教授は「偶然入ってきた情報を収集しただけでは犯罪にならない」と指摘する。情報の盗みだしに適合した法律はなく、ネット情報の流用でもアクセスの違法性を問う不正アクセス防止法を適用するケースが大半だ。

 今回の個人情報収集問題でも日本では、ドイツや韓国のように大きな騒ぎにはなっていないが、ストリートビューをめぐっては、別の批判が巻き起こった。「他人の家の軒先を勝手に映すな」との反発だ。

 ストリートビューでは、人の顔を正面からとらえないように撮影するカメラを2・45メートルに設定していたが、日本ではこの高さが裏目に出た。住宅が公道に接し、塀が高くない日本では、塀越しに軒先の洗濯物まで写り込むケースが頻発した。

 「プライバシーの侵害だ」として、国にストリートビューの規制を求める意見書を採択する地方議会が相次ぎ、グーグルは撮影位置を40センチ下げる措置を取った。

 この問題を審議した総務省の作業部会では「写り込んだ人や表札は個人情報保護法で保護すべき情報には当たらず、プライバシーや肖像権の侵害になるケースも限られるため、サービスを停止すべき重大な問題があるとはいえない」と結論付けた。

 だが、斎藤弁護士は「観光地や商業地だけでなく、住宅地一帯も漫然と写しており、一つひとつの映像にどれだけ必要性があるか疑問だ」と話す。園田教授も「収集される情報は単なる地図情報ではなく、洗濯物や所有する乗用車など個人の生活情報そのもの。映像から個人が特定されるケースもある」と懸念を示す。

 グーグルは個人の要請で映像の削除も行っているが、クレームで削除された映像だけを保存し、公開するサイトまで出現しているという。昨年末には、ストリートビューを見て「狙う店の目星を付けた」と供述した窃盗犯が逮捕される事件も起きた。

 「ストリートビューは確かに便利だが、日本ではまだ利便性とプライバシーのバランスについての根本的な議論が尽くされていない」。園田教授はこう指摘している。一週間のtppの7つの安心とは

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Posted at 13:19 in Economy | WriteBacks (0) | Edit
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